東京高等裁判所 平成2年(行ケ)22号 判決
一 請求の原因一ないし三の事実(特許庁における手続の経緯、訂正明細書の実用新案登録請求の範囲第一項及び本件審決の理由の要点)については、当事者間に争いがない。
二 本件考案について
成立に争いのない甲第二号証、第六号証によれば、本件訂正明細書には、本件考案の目的、構成及び作用効果について、次のとおり記載されていることが認められる。
1 目的
(一) 通常、植物栽培のためのビニルハウスは、多数のアーチパイプを順次、所定間隔をあけて奥行方向に併設すると共に、それらと直交する複数本の直管(横通しパイプ)を奥行方向に配置し、それらの各交差部を強固に連結して構造骨材を組み立て、その外側に、これを覆うようにビニルシートを張設して形成される(甲第六号証(全文)訂正明細書第二頁一三行ないし一九行)。
(二) このようなハウスでは、肩部横通しパイプより上側のビニルシート内面の凝縮水は、シートを伝つて流下しながら抑えひもの部分に集まり、接触する肩部横通しパイプに移行して、その部分からハウス内に滴下し、栽培植物を傷めるという不都合があつた(同第三頁一二行ないし一七行)。
(三) このようなビニルハウスの実情において、凝縮水ぼた落ち現象を解消するためのドロツプレス連結方式が注目されるようになつた。
横通しパイプとアーチパイプを交差連結する金具、装置ないし方式は数多く知られ、それぞれについてドロツプレス連結への改良がなされてきた。(同第四頁二行ないし七行)
(四) 本考案者は、実公昭五二―三五四一一号公報(第一引用例)に開示された横通しパイプとアーチパイプとを交差連結する金具が優れた連結機能をもつ反面、凝縮水ドロツプレス機能が小さく、実用的価値が低いことに着目し、ドロツプレス機能を向上させる連結金具への改善について各種の試作研究を行つた結果、実用的に満足し得る上記機能を備えた極めて望ましい連結具を開発した(同第四頁八行ないし一五行)。
(五) 本考案の目的は、実公昭五二―三五四一一号公報(第一引用例)に開示されたパイプ交差連結金具の改良に関するものであり、交差連結すべき二本のパイプを強固且つ安定に結合し得ると共に、植物栽培用ハウスに要求される優れたドロツプレス機能を与える連結金具を提供するにある(同第四頁一六行ないし第五頁一行)。
2 構成
(一) 本件訂正明細書の実用新案登録請求の範囲第一項(本件考案)に記載されている構成の採用
(二) 第一図(本判決別紙本件考案図)は、本考案の骨材連結金具の一例の斜視図であつて、二本のパイプを連結した状態に組み合わせた斜視図で、二本のパイプは仮想物として点線で示してある。
図において、断面U字形に折り曲げられた金属製板状部材1は、長尺のパイプを強固に固持連結しうる強度を有する鋼性かつ弾性の金属材料で構成され、折り曲げられた平板状の両脚部は、その間隔が端部方向に若干広げられるとともに、両脚板には、第二のパイプP2を受け入れ保持するための半円状の切欠部2、2が同じ側の側縁に開口状に形成されている。また、U字形に折り曲げられた屈曲部3は、その屈曲内面が連結すべき所定の第一パイプP1の外周面に適応するように形成される。
一方、このU字形板状部材1と組み合わされるくら形の金属製部材4は、これも同様に、パイプ連結部材として十分に優れた強度を有する鋼性の金属材料で構成される。このくら形部材4はまた同様に折り曲げられ、U字形部材1の開脚角度と実質的に同一の開放下端部方向が若干開いた開脚角度に形成されて、部材1の内側面に嵌合状に挿入使用される。しかし、この折り曲げ部は、その折り曲げ部全体にわたつて折り曲げ中央部が脚部方向に押し込まれて凹状にされ、くら形状の屈曲面5が形成されている。このくら形屈曲面5は、U字形部材の折り曲げ内面3に当てがわれた第一のパイプP1を強固に押圧、挾持するために極めて有効に作用する。また、第一のパイプP1と第二のパイプP2との間に打ち込まれるこのくら形部材4は、パイプP1とP2をビニルハウスの凝縮水のぼた落ちを実質的完全に防止するのに充分な間隔に保持し得る機能を有するものでなければならず、そのためには、くら形部材は、その両脚部を、図に示すように充分な長さにすることが重要で、実用上満足し得る凝縮水ドロツプレス効果は、約四~六cm程度の十分な長さの脚長のくら形部材によつて得ることができる。また、その両脚部の開放下端縁6、6は、いずれも同一方向に傾斜してテーパーが付され、それぞれの脚板の両側辺縁の長さが異なるように例えば、一方の辺縁7、7は他方の辺縁7´、7´より充分長く形成されている。このくら形部4は、部材1との組合せにおいて、その長い辺縁側が部材1の脚板に形成された半円状の切欠部2、2の開口側に位置するように適用され、パイプP1を切欠部2、2にあてがつたのち、その開口側から、上記くら形部材4の脚板の短かい方の辺縁7側を部材1内に挿入し、P1を固持しうるまで押し込むように適用される。このように組み合わせることによつて、半円状の切欠部2、2に挿入された第二のパイプP2が強固に連結されるとともに、テーパー辺縁6、6により開口からはずれるのを効果的に防止することができる。また、このテーパーは、上記のように部材4を部材1(U字形板状部材)に対して相対的に水平方向に移動させ、連結すべきパイプP1及びパイプP2を強固に固定すればよいから、パイプの太さの多少の変動にも好都合に対応しうる利点を有する。(同第五頁四行ないし第八頁一行、甲第二号証)
3 作用効果
本考案の連結金具は、従来のものに比べて、特に、アーチパイプに肩部横通しパイプを一層強固に挾持連結し得ると共に、くら形板状部材の打ち込みの際、U字形板状部材及びアーチパイプに対して相対的に水平方向に移動させることができるから確実に挿入でき、かつ、アーチパイプを面接触により強固に押圧、挾持する作用効果があり、さらに強風などを受けてもくら形板状部材がU字形板状部材の内側面に嵌合状に係合しているからゆるむことがなく、長期間の使用にも耐えることができ、くら形板状部材が優れたドロツプレス機能を有する(甲第六号証第八頁一二行ないし第九頁三行)。
三 取消事由1について
1 原告は、「第一引用例の継合装置は温室、収納棚、工事現場の骨組などいずれも直線状の縦方向の大径構材1に直線状の水平構材2を連結する金具であるから、第一引用例をビニルハウスに用いる場合でもドロツプレス効果を必要としないハウス側面の鉛直大径構材1の外側に側部小径構材2を水平に取り付けるための継合金具であり、その解決すべき課題は本件考案と相違しており、それ故にこの第一引用例にはドロツプレス機能を有しないばかりでなく、それを付加する必要もない。」と主張する。
しかしながら、前掲甲第二号証、第六号証、成立に争いのない甲第七号証、乙第一ないし第四号証によれば、ビニルハウスにおいて、構造骨材をアーチパイプと直管(横通しパイプ)とで構成し、多数のアーチパイプを順次、所定間隔をあけて奥行方向に並設するとともに、それらの内側に、これらと直交する複数本の横通しパイプを奥行方向に配置し、それらの各交差部を連結して組み立てたものは、本件考案の出願前に周知であること、「アーチパイプ」の形状は、概ね半円形状、五角形状のもの等があつて一様ではなく、したがつて横通しパイプとの各交差部分においても、直管の場合あるいは曲管の場合もあり、一様でないこと、また、「直管(横通しパイプ)」は、ビニルハウスの奥行方向に地面と平行に配置されるものであるから「水平方向の構材」とみることができ、この「直管(横通しパイプ)」と直交する「アーチパイプ」は、「縦方向の構材」とみることができること、さらに、「アーチパイプ」は、ビニルハウスの側面においては鉛直方向である場合があるとしても、その上部部分(天井部分)においては緩い傾斜のものやアーチ状のものもあることが認められる。
ところで、前掲甲第七号証によれば、第一引用例には、「本考案は縦方向の構材と水平方向の構材を十字形に合せこの交叉部を結合する例えば促成栽培、園芸等に使用されるビニルハウスの構築材(骨組)に関するものである。」(甲第七号証第1欄二三行ないし二六行)と記載されていることが認められ、この記載と右周知事実とを併せ考えれば、ビニルハウスの縦方向の構材は、その上部において種々の形状をしており、その中にアーチ状のものも包含するものと認められるから、第一引用例の「縦方向の構材」は「アーチパイプ」を包含するものと解される。
しかも、前記のとおり、本件訂正明細書にも、「本考案者は、実公昭五二―三五四一一号公報(第一引用例)に開示された横通しパイプとアーチパイプとを交差連結する金具が優れた連結機能をもつ」と記載されており、第一引用例が横通しパイプとアーチパイプとを交差連結する金具であることは、原告自身も本件訂正明細書において自ら認めているところである。
してみれば、第一引用例の「縦方向の構材」は、地上から鉛直に立設された部分のみを意味するものではなく、ビニルハウスの上部部分で水平方向の構材と交差結合する構材(パイプ)も「縦方向の構材」と解するのが相当である。
また、前掲甲第七号証によれば、第一引用例には、ドロツプレス効果についての直接の記載はないことが認められるが、第一引用例の連結金具がその使用される位置によつては、すなわち、ビニルハウスの上部部分で水平方向の構材とアーチパイプとを交差結合する場合には、ドロツプレス効果を必要とすることは当然であり、しかも、前記のとおり、本件訂正明細書には、この点に関し、第一引用例は「凝縮水ドロツプレス機能が小さく、実用的価値が低い」と記載されており、機能は小さいながらもドロツプレス効果があることは、原告も本件訂正明細書において自ら認めるところである。
以上の事実によれば、第一引用例に記載のものは、ドロツプレス効果を必要とするビニルハウスの上部部分においても使用されることが示されているから、前記原告の主張は理由がない。
2 原告は、「第一引用例はビニルハウス骨組みの周囲側面の鉛直大径構材1に小径構材2を水平に取り付ける継合金具であるから、楔4の打ち込みの際は直線状の小径構材2に平らな背面が接しながら打ち込まれるので、くら形部を必要としないものであり、また楔に粗面を形成しているから楔が継合金具の内側面に嵌合状に係合する必要もない。」と主張する。
しかしながら、第一引用例がビニルハウス骨組みの周囲側面の鉛直大径構材1に小径構材2を水平に取り付ける継合金具であるとする点は、前記1で認定判断したとおり失当であり、また、前掲甲第七号証によれば、第一引用例には、「実施例では太径構材を縦方向に、小径構材を水平方向に配した場合について図示したが、この反対にしても使用することができる。」(甲第七号証第2欄一一行ないし一四行)と記載されていることが認められ、右事実からすれば、小径構材が縦方向部材であることもあり、アーチパイプも含まれ、必ずしも直線状とは限らないから、小径構材2が直線状のため楔4にくら形部が必要ないとはいえない。
しかも、パイプに他部材を沿わせる際に、他部材の接触面をパイプの断面形状に合わせてくら形とすれば、両者を強固に押圧、固持できることは、パイプが彎曲していても、直線状であつても同様な作用効果を有することは技術常識であるから、第一引用例に記載の楔4がくら形部を必要としないものであるとはいえない。また、楔4の背面を粗面とすれば、接する小径構材2が直線状であるか彎曲であるかにかかわらず、保持のための摩擦力が増加することも、技術常識であるから、楔4の背面を粗面にすることがあることから、小径構材2が直線状であるとも、楔が継合金具の内側に嵌合状に係合していないともいえないことは、被告主張のとおりと認める。
したがつて、原告の前記主張は理由がない。
3 原告は、本件審決が、「本件考案はU字形板状部材の折り曲げ部内面でアーチパイプ肩部を抱持し、該両脚板部の切欠きに肩部横通しパイプを受け入れ保持し、くら形板状部材のくら形部でアーチパイプを上記U字形板状部材の折り曲げ部内面に押圧、固持するのに対して、第一引用例は屈曲部内面で鉛直の縦太径構材の外側に位置した水平小径構材を抱持し、上下片の孔に鉛直に立設された太径構材を嵌挿した点が相違する」ことを看過している旨主張する。
しかしながら、第一引用例の大径構材が鉛直に立設されたものに限定されないことは、前記1に認定したとおりであるから、原告の右主張はその前提において理由がない。
また、原告は、「第一引用例は、……アーチパイプをU字形板状部材の折り曲げ部内面に押圧、固持するくら形板状部材の板状両脚部の下端辺縁で肩部横通しパイプに楔着した構成も有していない」旨主張する。
しかしながら、本件考案のU字形板状部材は第一引用例の継合金具に、折り曲げ部は屈曲部に、くら形板状部材は楔に、それぞれ対応するところ、本件審決は、第一引用例記載のものにおいて、継合金具の屈曲部の内面にアーチパイプを押圧、固持する楔の両脚部の下端辺縁で肩部横通しパイプに楔着するようにすることは、相違点(ⅰ)において認定判断しており、本件審決に原告主張の相違点の看過は認められない。
四 取消事由2について
1 第一引用例の連結金具が、アーチパイプと肩部横通しパイプとの連結固定において、ドロツプレス効果を必要とする連結部所においても使用されるものであることは、前記三記載のとおりであり、また、第二引用例には、本件審決の理由の要点2(二)記載のとおりの技術的事項が記載されていることは原告の争わないところである。
2 成立に争いのない甲第八号証によれば、第二引用例の明細書には、「この考案は、ビニールハウスのシート材を張設指示するアーチ材と、このアーチ材に直交する方向に沿う梁材とを結合固定する固定金具に関するものである。」と記載されており、添付図面(本判決別紙第二引用例図)を参照すれば、該アーチ材及び梁材はパイプで構成されていると認められることから、第二引用例記載の考案が、ビニルハウスの構造骨材を十字形に連結する金具に関するものであると認められる。したがつて、第二引用例のものは、ビニールハウスを構成する構材であるアーチパイプと肩部横通しパイプとを十字形に連結する金具に関するものであり、本件考案、第一引用例及び第二引用例はいずれも技術分野を共有するばかりでなく、ビニールハウスの構材を十字形に連結する機能を有する金具である点において一致していると認められる。
また、前掲甲第八号証によれば、第二引用例の明細書には、「アーチ材と梁材とを充分に離間させて連結固定できるため、斯る金具を用いた場合にはビニールハウスを能率よく組み立てることができ、かつ、シート材の内面に付着した水滴が梁材を伝つて滴下するのを予防できるのである。」(同第七頁一八行ないし第八頁二行)と記載されていることが認められ、右事実によれば、第二引用例の連結金具は、アーチパイプと肩部横通しパイプとの連結固定において、ドロツプレス効果を必要とする連結部所の連結金具として用いると好都合なものであると認められる。
3 さらに、前記のとおり、第一引用例の明細書には、「実施例では太径構材を縦方向に、小径構材を水平方向に配した場合について図示したが、この反対にしても使用することができる。」と記載されていることからも明らかなとおり、第一引用例記載の金属製U字形板状部材である連結金具の折り曲げ部内面にアーチパイプを抱き込み、その切り欠き部に肩部横通しパイプを受入れ保持させることは、アーチパイプも肩部横通しパイプもいずれも円筒形のパイプからなるものであるので、連結金具の折り曲げ部内面にいずれのパイプを抱き込ませても、その連結固定は連結金具の構成を何等変更することなく実施できるものと認められるから、連結金具の折り曲げ部内面にアーチパイプを抱き込ませることに格別な技術的困難を伴うものとは認められない。
4 原告は、「第二引用例は本件考案とは全く異なるタイプの金属線材からなる固定金具であるから、両者は物品を異にしており、第二引用例のスペーサ4は本件考案のくら形部材4とは全く作用効果を異なる」旨主張するが、第二引用例が本件考案と技術分野を共通にすることは前記2記載のとおりであり、スペーサ4とくら形部材4とがスペーサの機能を有する作用効果の点において異ならないことは後記五2記載のとおりであるから、原告の右主張は理由がない。
5 したがつて、本件審決の相違点(ⅰ)についての認定判断に原告主張の誤りはない。
五 取消事由3について
1 本件訂正明細書には、前記のとおり、「くら形板状部材」に関して、「くら形部材4はまた同様に折り曲げられ、U字形部材1の開脚角度と実質的に同一の開放下端部方向が若干開いた開脚角度に形成されて、部材1の内側面に嵌合状に挿入使用される。しかし、この折り曲げ部は、その折り曲げ部全体にわたつて折り曲げ中央線部が脚部方向に押し込まれて凹状にされ、くら形状の屈曲面5に形成されている。」、「第一のパイプP1と第二のパイプP2との間に打ち込まれるこのくら形部材4は、パイプP1とP2をビニルハウスの凝縮水のぼた落ちを実質的完全に防止するのに充分な間隔に保持し得る機能を有するものでなければならず、そのためには、くら形部材は、その両脚部を、図に示すように充分な長さにすることが重要で」、「その両脚部の開放下端縁6、6は、いずれも同一方向に傾斜してテーパーが付され」、「このテーパーは、上記のように部材4を部材1(U字形板状部材)に対して相対的に水平方向に移動させ、連結すべきパイプP1及びパイプP2を強固に固定すればよい」と記載されている。
一方、前掲甲第八号証によれば、第二引用例には、「固定金具は、帯金を正面略U字状に折曲形成したスペーサー4と、……とで構成されている。ここに、前記スペーサー4の両壁上端面には、前記アーチ材1の下端部の一部と位置決め係合する凹部4aを設けると共に、その底壁には前記梁材2の上端部の一部と位置決め係合する凹部4bを形成している。」(甲第八号証第四頁七行ないし一六行)と記載されていることが認められる。
2 本件考案の「くら形板状部材」と第二引用例に記載されている「スペーサ4」とを対比すると、両者はアーチパイプと肩部横通しパイプとの間の間隔を保持する「スペーサ」の機能を有するという点で同じであり、また、パイプの位置決めを確実にするために、その折り曲げ部をその中央線部において、折り曲げ部全体にわたつて脚部方向に凹状に押し込んだ形状、すなわち、「くら形部」とした点でも同じであると認められる。
3 ところで、前掲甲第七号証によれば、第一引用例記載の楔は、コ字形の屈曲中央部(パイプ2と接触する部分)が「平らな上面」となつている(本判決別紙第一引用例図参照)が、明細書の詳細な説明の欄には、「楔」について「この小径構材2と太径構材1間にしかも小径構材2の内面に沿わせて楔4の小幅部より挿入し、さらにハンマーにて強固に圧入すると、両構材1、2は……確固に架設される」(甲第七号証第2欄一八行ないし二三行)と記載されていることが認められ、右事実からすれば、第一引用例記載の楔4は構材2(パイプ2)と構材1(パイプ1)との間の間隔を保持する「スペーサ」の機能と、構材2(パイプ2)と構材1(パイプ1)とを強固に保持固定するための「楔」の機能との2つの機能を有しているものと認められる。
4 以上の事実によれば、第二引用例には、パイプの位置決めを確実にするためにスペーサをくら形にする技術が示されているので、この技術を第一引用例の「楔」に適用し、パイプの位置決めを確実にするために、該「楔」のコ字形の屈曲中央部(パイプ2と接触する部分)の「平らな上面」を凹状に押し込んだ形状(すなわち、くら形部)とすることは、当業者において極めて容易になし得ることと認められる。
また、第一引用例の「楔」に第二引用例の「スペーサー4」の技術を適用して、第一引用例の「楔」の両脚部(上下片4a、4b)をドロツプレス効果が与えられるのに充分な長さにすることは、当業者が極めて容易になし得る程度のことであると認められる。
5 したがつて、本件審決の相違点(ⅲ)についての認定判断に原告主張の誤りはない。
六 よつて、原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却する。
〔編注1〕本件における訂正明細書の実用新案登録請求の範囲第一項は左のとおりである。
断面がU字状に折り曲げられ、その間隔が端部方向に若干広げられた金属製U字形板状部材と該部材の内側面に嵌合状に係合する金属製のくら形板状部材とを組み合わせて成るパイプ交差連結具であつて、上記U字形板状部材は、その折り曲げ部が内面にアーチパイプを抱き込む屈曲面に形成されると共に、両脚板部のそれぞれに肩部横通しパイプを受入れ保持し得る同一形状の切欠きが形成され、上記くら形板状部材は、上記アーチパイプを上記U字形板状部材の折り曲げ内面に押圧、固持するくら形部及びドロツプレス効果を与えるのに充分な長さの板状両脚部を有し、それぞれの脚部の下端辺縁が、上記肩部横通しパイプに楔着し得るように、同一のテーパーが形成されて成るシート抑えひもが用いられるビニルハウスの構造骨材の連結金具(本判決別紙本件考案図参照)。
〔編注2〕本件における図面は左のとおりである。
別紙 本件考案図
<省略>
別紙 第1引用例図
<省略>
別紙 第2引用例図
<省略>